商品開発のコンセプトづくりを加速する!臨床目線でアイデアだし 【本当に求められるヘルスケア商品を】

企業のマーケティング担当者の方や商品開発担当者の方は、日々新しい商品の企画や開発に力を入れているはずです。革新的な商品を生み出し、市場で成功させることは容易ではありません。この記事では、商品開発のアイデア出しから発想手法とこれまでにない斬新なアイデア設計まで詳しく解説します。
1. 商品開発アイデアの重要性
インターネットが普及し、SNSが誕生したことで、消費者が受け取る情報量が激増しました。また、ライフスタイルが多岐に渡り、消費者のニーズも多様化しています。このような環境で企業が生き残るためには、常に新しい価値を創造し、市場に投入し続けることが求められます。商品開発のアイデアは、その第一歩となる重要な要素です。
2. アイデア出しのプロセス
2.1. 市場調査とニーズの把握
市場調査とニーズ把握は、事業戦略を成功に導く土台づくりです。そのためには以下3つの手法を組み合わせ、データと現場感の両面から「いま何が求められているか」を立体的に捉えます。
- SWOT分析: 自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析し、市場における自社商品の立ち位置を明確にします。
- 顧客の声: 顧客アンケート、インタビュー、SNS分析などを通じて、顧客の不満点や要望を収集します。
- 競合分析: 競合他社の製品やサービスを分析し、差別化のポイントや改善点を見つけます。
2.2. アイデア発想の手法
市場調査で得られた膨大なインサイトを、単なるデータの羅列で終わらせず“具体的なアイデア”に昇華させるには、多様なフレームワークを使い分けることが有効です。
- ブレインストーミング: 自由な発想を促し、多くのアイデアを短時間で出す手法です。批判をせず、量より質を重視します。
- KJ法: 収集した情報をカードに書き出し、グループ化することで問題の構造を明確にし、本質的な課題を発見します。
- SCAMPER法:既存の製品やサービスに対し、Substitute(代替)、Combine(組み合わせ)、Adapt(適用)、Modify(修正)、Put to another use(他の用途)、Eliminate(削除)、Reverse(逆転)の視点から問いかけ、新しいアイデアを導き出します。
- マインドマップ: 中央にテーマを置き、そこから関連するキーワードやアイデアを放射状に広げていく思考法です。
上記の手法を知っていても、日々の業務に忙殺され、実際に使う機会がないことも多いかと思います。改めて実践してみるのはいかがでしょうか。
3. 医師の知見を活かしたアイデア設計
臨床現場の“生の声”を知るメリット
医療現場の“生の声”とは、現役の医師・看護師・薬剤師などの健康のプロフェッショナルが日々感じている課題やニーズ、改善アイデアを指します。マニュアルや二次情報では得られない、リアルで具体的な洞察は、ヘルスケアビジネスの成功に大きく寄与します。
臨床現場の“生の声”を知るメリット3選
- 商品・サービスの開発精度向上
- 実際に臨床現場で日々患者を診ている医師だけが知る、本当に求められる機能やスペックを先取り
- 信頼性の担保とブランド価値向上
- エビデンスに基づいた開発ストーリーを発信可能
- 競合との差別化ポイント発見
- 自社独自の価値として打ち出しやすくなる
医療現場の“生の声”を効率的に集める方法
1. アンケート調査
- 対象:m3.com会員などの医師ネットワーク
- 形式:Webによる調査(選択肢+自由記述)
- メリット:大量のサンプルによる定量データ取得が短期で可能
2. オンライン/対面インタビュー
- 対象:医師
- 形式:30~60分インタビュー
- メリット:深掘りした定性データを得られ、背景や価値観が明確化
医師の知見を活用したアイデア設計に興味がある方は、ぜひ医師監修について解説しているこちらの記事もご参照ください。
4. 医師の知見を活かした新商品3選|おせんべい・サウナハット・握らないマウス
医師への定量アンケートをもとに開発された「お医者さんのおせんべい」「サウナハット」「握らないマウス」をご紹介します。商品開発に至った背景と、具体的なプロモーション施策を解説します。
医師の声を形に──3つのヘルスケア商品事例
医師が臨床現場で患者を診る中で感じる課題やニーズを、定量アンケートや専門医師へのインタビューで可視化します。得られたデータをもとに企画・開発し、AskDoctors評価サービスで高い推奨意向を獲得した3つの商品をピックアップしました。いずれも「医師の知見」×「消費者インサイト」で生まれた事例です。
お医者さんのおせんべい──高齢者のフレイル予防に最適な間食
- 開発背景
- 医師100名以上に「高齢者が摂取すべき栄養成分」を調査
- フレイル(虚弱)予防の観点から「手軽にタンパク質を摂れる間食」のニーズが浮上
- 高齢者がタンパク質を摂取できる機会が少ないことが判明
- 若年層向けのプロテインは数多くあるものの、高齢者が摂取しやすい商品は少なかった
- 医師100名以上に「高齢者が摂取すべき栄養成分」を調査
- 消費者調査
- 高齢者300名に食生活・間食の意識調査を実施
- 90%が常備する間食のトップは“せんべい”と判明
- 高齢者300名に食生活・間食の意識調査を実施
- プロモーション施策
- 医師100名中96%が「推奨したい」と回答
- パッケージに『AskDoctors評価サービス』ロゴを掲示
- クラウドファンディング(マクアケ)で100万円以上の応援購入を達成
サウナハット──医師の視点から見た理想的なサウナハット
- 開発背景
- 医師200名以上に対し、サウナおよびサウナハットに関する意識調査
- 「医師の視点から見た理想的なサウナハット」に求められるキーワードとして、「マインドフルネス」と「汗をよく吸うタオル素材」の2つの要素を導出
- 医師200名以上に対し、サウナおよびサウナハットに関する意識調査
- 消費者(サウナ愛好家)への定量アンケート
- 300名以上に対して、サウナについて意識調査
- 月に1回以上サウナに入浴する方でも、サウナハットを着用しない方が55%と半数以上
- 着用しない理由として、「サウナハットを着用することによる効果を知らない」ことが挙げられる
- 300名以上に対して、サウナについて意識調査
- プロモーション手法
- 医師100名中97%の推奨意向を獲得し、パッケージに『AskDoctors評価サービス』のロゴを掲示
- 公式サイトにて販売中
握らないマウス──エレコム×整形外科医共同開発
- 商品開発に伴い実施したこと
- 既存商品の評価取得
- 競合製品が生まれる中、他社との差別化を実現
- 監修医師のご紹介
- 開発監修者として連携
- 人間工学に基づいた握りやすさをさらに追求
- 既存商品の評価取得
- プロモーション手法
- 整形外科医と共同開発した“握らないマウス”を発売
- 医師共同開発のストーリーをPOPやパッケージで訴求
5. まとめ
これら3製品に共通する成功要因は、
- 医師への定量アンケート/定性インタビューで得た“臨床視点での新しい提供価値”
- 消費者調査による潜在ニーズの可視化
- AskDoctors評価サービスによる新商品でも信頼性を高める訴求
です。
医師のリアルな知見を活用すれば、
- 新市場の創出
- 商品開発の精度向上
- 信頼性の担保/ブランド価値向上
を同時に実現できます。
商品開発のアイデアは、単なるひらめきだけでは生まれません。緻密な市場調査、体系的な発想、そして厳密な評価プロセスを経てこそ、その真価を発揮します。多様なチームの連携、失敗を恐れない文化、顧客中心のアプローチ、そしてスピード感のある開発が、アイデアを成功へと導く鍵となります。ぜひ臨床目線のアイデア出しを検討してみてはいかがでしょうか。
次の一手として、AskDoctors総研では、エビデンス構築(関連情報はこちらをご参照ください)や医師の評価など、様々なサポートが可能です。ご関心をお持ちいただいた場合は、ご相談やご質問だけでも構いませんので、ぜひお気軽にAskDoctors総研へお問い合わせください。