【認定マーク活用最前線】ニチレイフレッシュ「亜麻仁の恵み」-オメガ3系脂肪酸など機能性研究強化 健康・環境対応型の新たな食肉市場形成

畜産品・水産品の調達、加工、販売を行う(株)ニチレイフレッシュ(東京都中央区)は、亜麻仁由来のオメガ3系脂肪酸を飼料にした食肉「亜麻仁の恵みⓇ」を販売する。現在「亜麻仁の恵みⓇ牛」は、「一豚」「一鶏」の3種類をラインナップし、美味しさと健康・環境面においてエビデンスを積み上げ差別化を図る。同社では、8年前からAskDoctorsの認証を取得、生鮮食品では異例となる「98%の医師推奨意向」を得ており、スーパーを中心に順調な売れ行きとなっているという。昨年度より、食肉の機能性開発とメタンガス排出抑制の研究を強化している畜産戦略部の近藤氏と松原氏に話を聞いた。
取材:健康産業新聞
回答:(株)ニチレイフレッシュ 畜産戦略部 部長 近藤武宣氏/同マネージャー 獣医師 松原夏月氏 
※本コラムは、2025年9月17日発行の健康産業新聞(第1820号)に掲載されたインタビュー内容です。
亜麻仁の恵みの特徴
近藤 『亜麻仁の恵みⓇ』は、オメガ3系脂肪酸を配合した当社独自の飼料を牛、豚、鶏に与えて美味しさ、健康面、環境面を向上させる食肉です。2006年発売以来、美味しさについては多くのお客様に評価頂き、売上は、全国のスーパーを中心に順調に推移しています。2024年度は、健康の機能性や環境対応といった付加価値強化に努めています。同社の獣医師でもある松原と協力しながらエビデンスを積み上げ他の生鮮食品とは違う新たな市場形成を進めています。

健康面、環境面の具体的な研究は
松原 健康面でいうと、『亜麻仁の恵みⓇ豚』は通常の3〜4倍のオメガ3系脂肪酸が含有されていることを確認しています。同成分が含有された食肉の摂取により、現代人が食事を通して摂りにくいオメガ3系脂肪酸を摂取することができます。また、ヒトだけでなく、家畜に対しての生理作用も報告されており、抗炎症作用などによる繁殖成績の向上のフィールド研究も行っています。
環境面では、メタンガスの削減の研究です。穀物を主成分とする一般的な飼料は、家畜の消化管内発酵によるメタンガス発生が温室効果ガスとなり課題となっています。牛に亜麻仁を与えることでメタンガスの発生量を減らせることが確認されました。また、当社飼料は、油脂の持つ高いエネルギーを効率的に増体に利用されるよう加工しており、より短い飼養期間で出荷することが期待できます。その結果、環境負荷も減らせることが出来ます。
AskDoctors取得の背景
松原 『亜麻仁の恵みⓇ』の前身である『オメガバランスシリーズ』を販売していた時、「店頭で健康機能などを謳いたい」という営業からの要望がありました。また、生鮮という特性と牛豚鶏3種類どれも同じ切り口で効能効果を伝えることに限界を感じていたところに、AskDoctorsをご紹介頂きました。
当社は、『純和鶏』という商品で機能性表示食品を過去届出しました。美味しさは評価頂くのですが、活用方法や訴求方法に制限があることが課題でした。一方、AskDoctorsは、3つのシリーズにそれぞれに同じ訴求をしていくブランディングが可能です。また、牛は豚と比べるとオメガ3系脂肪酸が増えづらいなど、家畜にはどうしても個体差があります。弊社としては、牛だけ認証を外すことはブランドの価値を下げることにも繋がってしまうため、シリーズ全体で評価頂けるのが助かりました。
取得のプロセスと習得後の効果
松原 検証する医師は全て内科の先生で、実際の商品と調理前・後の成分データや説明資料を送りました。医師達は「健康にいい」という一点張りではなく血液や炎症、筋肉への効果など様々な角度で検証頂きました。初めて頂いた評価では93%の医師の推奨を得たのですが、回を重ねる度に研究成果の補足やデータの改善を行った結果、現在は「98%の医師推奨意向」まで評価が向上しました。

今後の展開
近藤 現在弊社の販路はスーパーがメインとなっています。これだけインバウンド需要や販路が多様化する中、外食や海外展開含め、他のチャネルでの拡販を広げていきます。海外展開については、現在、米国進出を検討しています。米国では、オメガ3系脂肪酸のサプリメントや食品の需要も高まっております。食肉文化が盛んな市場で同成分が含有されさらにホルモン剤を使っていない食肉に大きな需要を感じています。
また、我々が開発した飼料を全国の農家も活用頂き、畜産産業の生産率向上を担えればと考えております。
引用:健康産業新聞(第1820号)
