健康ビジネス(ヘルスケアビジネス)とは?市場規模・参入のメリット・具体例を解説

消費者の健康への関心が高まる一方で、「健康ビジネスとは何か」「どこに事業機会があるのか」と悩む企業担当者も少なくありません。市場は拡大しているものの、信頼性や差別化が問われる分野でもあります。
この記事では、健康ビジネスの基本から市場規模、具体例までをわかりやすく解説します。記事を読めば参入判断から差別化、信頼性構築までのポイントを把握できるので、ぜひ最後までご覧ください。

健康ビジネスとは?

健康ビジネス(ヘルスケアビジネス)とは、人々の心身の健康維持・増進を目的として、健康に関する商品やサービスを提供する事業を指します。医療行為そのものに限らず、予防や未病対策、ウェルネス(心身の充実)まで幅広い領域を含む点が特徴です。

かつては、医療や介護は「治療」や「支援」を中心とした専門領域として位置づけられ、主に医療機関や行政が担う分野と考えられてきました。しかし、高齢化の進行や医療費の増大、健康寿命の重要性が社会課題として認識されるようになり、治療前の予防や日常的な健康管理への関心が高まっています。

こうした高齢化や医療費増大を背景に、健康寿命の延伸を目的とした取り組みが重視されるようになり、民間企業が活躍できるフィールドが広がりました。

健康ビジネスの具体例として、以下のようなサービスが挙げられます。

  • 個々の体質に合わせた健康食品の販売
  • 日々の眠りを可視化する睡眠管理アプリ
  • 継続的な運動を促す支援サービス

健康は一度の取り組みで完結するものではなく、日々の生活の中で継続的に向き合う必要があります。そのため健康ビジネスでは、習慣化や継続利用を前提とした設計が重視され、単発購入にとどまらないビジネスモデルが特徴となっています。

健康ビジネスの市場規模

健康ビジネス市場は、中長期的に拡大が見込まれる成長分野です。

実際に経済産業省は、公的保険外のヘルスケア関連市場が2050年に約77兆円規模へ拡大すると予測しています。市場拡大の見通しから、予防や健康管理の重要性が高まっていることが読み取れます。

これまで医療分野では、病気になった後の治療に多くの費用が投じられてきました。しかし近年は、健康な状態をできるだけ長く維持するための予防や、心身ともに充実した人生を目指すウェルネスへと消費者の関心が移りつつあります。

その結果、健康ビジネスの対象は運動・睡眠といった生活習慣だけではなく、メンタルケアにまで拡大しています。また、提供形態も人間によるサポートだけではなく、AIを使った食事管理や運動習慣アプリなど多種多様なサービスへと進化を遂げています。

参考:経済産業省「令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(ヘルスケアサービス市場等に係る調査事業)

健康ビジネスが注目される背景

健康ビジネスが注目される主な背景として、以下の2点が挙げられます。

  • 高齢化による医療費の増加
  • 健康寿命の延伸

それぞれ詳しく解説します。

高齢化による医療費の増加

日本では高齢者人口の増加にともない、医療費や介護費が年々拡大しています。医療や介護費の増大により、医療・介護制度の持続性をどのように確保するかが、社会全体の課題となっています。

こうした状況を受け、国は「治療中心」から「予防重視」への転換を明確に打ち出しました。現在は、公的保険に依存しないヘルスケアサービスの普及を後押ししています。たとえば、特定健診の推進や健康経営の普及、PHR(Personal Health Record:パーソナルヘルスレコード)活用に向けた制度整備などを通じて、民間のヘルスケアサービスが広がる環境づくりなどが挙げられます。

健康ビジネスは個人の健康維持にとどまらず、社会課題の解決に貢献する重要なビジネスとして期待が高まっていると言えるでしょう。

参考:経済産業省「経済産業省におけるヘルスケア産業政策について

健康寿命の延伸

健康寿命の延伸が社会全体の重要課題になっていることも、健康ビジネスが注目される理由の一つです。

厚生労働省のデータによれば、2022年時点の平均寿命と健康寿命の間には男性で約9年、女性で約12年の差があります。

出典:厚生労働省「平均寿命と健康寿命 - スマート・ライフ・プロジェクト

日本では平均寿命が延びる一方で、病気や要介護状態 によって生活の質が低下する期間をいかに短くするかが問われています。そのため、病気になってから治療する従来型の発想から、日常生活の中で健康な状態を維持し、心身ともに自立した期間をできるだけ長く保つ考え方へと重心が移ってきました。

こうした健康意識の高まりを背景に、運動習慣の定着や食生活の改善、メンタルケアなどに寄与する健康ビジネスのニーズが高まっています。健康ビジネスは、企業にとっても重要なビジネス領域として関心を集めています。

健康ビジネスに参入するメリット

健康ビジネスに参入するメリットは主に以下のとおりです。

  • 社会貢献度が高い
  • 市場が安定しやすい
  • 異業種から参入しやすい

3つのメリットについて、詳しく解説します。

社会貢献度が高い

健康ビジネスに参入するメリットの一つは、人々の健康維持・増進に貢献できる点です。人々の生活の質を高めると同時に、社会課題の解決に直結する事業として位置づけられています。

健康寿命の延伸や医療費の抑制などの課題に寄与できる点から、社会全体に価値をもたらすビジネスといえるでしょう。

近年では、医療費抑制や健康寿命の延伸に貢献する取り組みが社会的意義として評価され、ESG投資家からも注目を集めるようになりました。環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を重視するESG投資の観点において、健康ビジネスは社会的な意義を明示しやすく、持続的な成長が期待できる事業と評価されやすい特徴があります。

そのため、資金調達や企業価値の向上にも好影響をもたらす可能性があり、長期的な視点で事業を育てたい企業にとって魅力的な領域となっています。

市場が安定しやすい

健康ビジネスは、市場が安定しやすい分野といえます。健康へのニーズは景気変動の影響を受けにくく、年齢や性別を問わず幅広い層に共通して存在するからです。

なかでも継続利用を前提としたサービスは、収益の見通しが立ちやすいストック型ビジネスへと発展させられる点が強みです。

たとえば、サプリメントの定期購入やオンラインフィットネスの月額利用などは、顧客と長期的な関係を築くことで、景気に左右されにくい持続性の高い経営につながります。一度構築した収益基盤が揺らぎにくい点は、健康ビジネスへ参入する大きなメリットです。

異業種から参入しやすい

健康ビジネスのメリットの一つとして、医療に関連する領域でありながら異業種から参入しやすい点が挙げられます。

健康維持や予防を目的としたサービスの中には、医療行為に該当しない領域も少なくありません。医療行為に該当しないサービスであれば、医師免許の取得や医療機関の開設を前提とせずに事業を展開できる場合があります。

その結果、医療提供体制を前提に事業を設計する必要がなく、各業界がもつ人材や技術、ノウハウをそのまま転用しやすくなります。既存事業との親和性を活かしながら、新たなビジネスモデルを構築できる点が特徴です。

たとえば、アプリ開発企業が健康管理サービスに参入したり、食品メーカーが栄養設計を強化した商品を展開したりするなど、既存事業と掛け合わせることで新たな価値を生み出せます

新たなビジネスチャンスを狙う企業にとって、異業種でも挑戦しやすくニーズも高い健康ビジネスは、参入するメリットが多い領域と言えるでしょう。

健康ビジネスの課題

健康ビジネスの課題として、主に以下の3つが挙げられます。

  • 差別化が難しい
  • 初期費用がかかる
  • エビデンスと信頼性が求められる

3つの課題について、それぞれ解説します。

差別化が難しい

健康ビジネスは参入障壁が比較的低い分、競合が増えやすく、差別化が難しい分野といえます。価格や機能だけで優位性を保つのは難しく、類似したサービスが短期間で市場に出回るケースも少なくありません。

さらに健康分野では、薬機法や景品表示法の制約により訴求表現が限定されます。商品やサービスを刷新しても伝えられる価値に差がつきにくく、訴求面で限界を感じやすい点も課題です。

競争が激しく訴求表現にも制約がある健康ビジネスでは、専門性に加え、体験価値や継続支援を組み合わせた戦略が求められます。

初期費用がかかる

健康ビジネスは、立ち上げ段階で一定の初期費用がかかる点が課題となりやすい分野です。

まず、ビジネスに新規参入する場合は商品やサービスの開発費がかかります。

また、データ分析やレポート作成といったエビデンスの取得や、薬機法・景表法チェックによる法規制への対応などでも費用が発生します。

健康ビジネスは信頼性が重視される分野のため、品質を担保するための投資が欠かせません。結果として他業界に比べて初期負担が大きくなりやすい傾向があります。

エビデンスと信頼性が求められる

健康ビジネスは、商品やサービスの効果に対するエビデンスと信頼性が求められる分野です。健康に関する情報やサービスは、利用者の身体や生活に直接影響を与えるためです。

根拠の曖昧な表現や誇張した訴求は不信感を招くだけでなく、法規制への抵触や炎上などのリスクにもつながります。そのため、専門家の監修やデータにもとづく情報発信を行い、長期的に信頼される体制を整えることが大切です。

事業内容によっては、データ分析やDX(デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革する取り組み)を取り入れ、信頼性を担保する仕組みを構造的に構築するアプローチも有効でしょう。

信頼性を確保する有効な手段の一つが、AskDoctors総研の活用です。AskDoctors総研では、全国の医師ネットワークを活用し、商品やサービスに対する医師の客観的な評価やアンケート調査を提供しています。専門家の視点を事業に組み込むことで、価値を第三者の立場から可視化でき、エビデンスにもとづく情報発信が可能になります。

健康ビジネスの具体例

健康ビジネスの具体例として、以下のサービスが挙げられます。

  • フィットネス・運動支援サービス
  • 健康管理サービス
  • 健康食品・サプリメント

それぞれのサービスについて詳しく紹介します。

フィットネス・運動支援サービス

フィットネス・運動支援サービスは、健康ビジネスの中でも成長が著しい分野です。AIを導入した無人ジムやオンラインでのパーソナルトレーニングなど、提供形態の幅が広がったことで、一人ひとりに合わせた細やかなサポートが可能になりました。

多くの人が抱える運動不足の解消に貢献するこの分野は、継続的なニーズに支えられています。

健康管理サービス

スマートフォンやウェアラブルデバイスを通じて健康状態を可視化・管理するサービスは、生活習慣病の予防を後押ししています。

たとえば歩数や心拍、睡眠の質などのデータをアプリで一元管理できる仕組みは、日常的な健康意識の向上に有効です。

近年では、従業員の健康づくりを経営の柱として掲げる企業や、法人向け福利厚生として健康管理サービスを導入する企業も増えています。

健康食品・サプリメント

健康食品は、健康ビジネスの中でも市場規模が大きく、安定した需要が期待できる分野です。栄養補助や体調管理を目的とした商品が多く、日常生活に取り入れやすい点が支持されています。

一方で、成分表示や訴求表現には一定の規制があるため、商品の安全性や有効性を裏付ける科学的根拠が求められます。そのため健康を訴求する食品では、商品設計だけでなく情報発信の面でも、根拠にもとづいた対応が欠かせません。また、商品の安全性や有効性をどのように担保しているかを、消費者にわかりやすく示すことも重要です。

たとえば医師との共同開発を打ち出すことで信頼性を高められ、長期的に選ばれるブランド構築につながります。さらに、専門家の知見をプロモーションに活用すれば、購入判断の後押しとなり、競合との差別化もしやすくなります。

健康ビジネスを理解し次の一歩につなげよう

健康ビジネスは、高齢化や健康意識の高まりを背景に、今後も安定した成長が見込まれる分野です。市場規模の大きさや社会貢献性などの魅力がある一方で、差別化や信頼性の確保などの課題も避けては通れません。

こうした中で、健康ビジネスを成功へ導く鍵となるのが、消費者からの揺るぎない信頼です。

AskDoctors総研では、日本全国34万人以上の医師ネットワークを活用し、商品やサービスに対する客観的な評価を提供しています。医師の評価にもとづく認定マークは、第三者の視点をわかりやすく伝える指標として、商品・サービスの信頼性向上や購入判断の後押しに役立ちます。まずは、お気軽に無料相談からご活用ください。

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